[Ⅲ] 右主翼の製作 2/
[Ⅲ]-4 主翼前桁と後桁及び小骨の製作
今回は主翼にかかる荷重を一手に引き受けるメイン骨格である前桁と後桁の製作と主翼の組み上げを開始しました。
海軍航空技術廠 研究実験成績報告にある図面から主翼線図と主翼前桁の図面を紹介します。
主翼線図
主翼前桁構造図
この主翼前桁の図面にある小骨間の数字を小骨番号①~㉖まで合計した数字と全長を記す数字、5M125と合わない(合計した数字は5M375)のです、これは先のブログにも書きましたが主翼線図から5M125は間違いで5M375が正しい様です。
当時の製作現場ではこの図面で作る訳じゃないので誰も気付かなかったのでしよう。
今になって重箱の隅をつついても意味がないのですがね。
次に小骨の図面を見ると1/10と言うスケールと単純に考えても工程数が無限に思われる程に多くなりそうですし又、全ての小骨、翼型断面線図も無いので実機に忠実には無理だなあ~と即、妥協し㈱ディアゴスティーニ金属零戦の主翼小骨原寸図を参考にさせて頂きました。
主翼翼型断面線図
主翼小骨構造図
1/10スケール型紙の製作
主翼前桁と後桁そして小骨①~⑨
主翼小骨⑩~㉖
海軍工廠編の小骨とはかけ離れた構造となっていますが模型である事に甘えての形状としました。
前桁、後桁、小骨ともに切り欠きどうしを噛み合わせる構造にしましたが、已む無し、と言ったところでしょうか。
全金属製の1/10零戦を作って飛ばしてみる!何と無謀な、失敗断念は想定内・・と言っても現実味がなきゃあ、やる意味もないし、つまり妥協ですね。
製作した型紙を使って仮組をしてみる。
切り欠きどうしをはめ込んで
何とか格好が付きそうです。
桁の補強材が抜けていました。
海軍工廠編 主翼前桁の構造図にある様なT構造にする必要があります。
主翼桁のT字補強材の製作。0.3mmアルミにて折り曲げ加工。
極力実機に忠実な製作で挑戦しようと試みたが0.数mmの誤差が積算され大きな誤差を吸収できず又、加工の難しさと工程の多さから満足いく仕上げが出来ず実機構造による製作を断念した経緯があります。
桁と小骨、及びその他補強材をスリットによるかみ合わせで組み立てる模型構造とすれば強度は損なわれるが組み立て精度アップと仕上がりの良さを期待できるので構造を模型構造にして再チャレンジをする事としたのは前述のとおりです。
今回は0.3mmのアルミニウム板を折り曲げ加工してT字補強材(主翼桁前後・左右と上下の計8本と予備2本)に決定し製作を行った。
加工については前回の実記構造での挑戦と同じで自作の直線折り曲げ加工冶具を使用した。
補強材のT字折り曲げ順番については試行錯誤でスクラップを何本も作ってしまったが粗、確立した。
仕上がりについては満足とは言えないもの20本近い加工を実施し写真程度の仕上がりを妥協点とした。
如何でしょうか0.3mmのアルミ板を下の写真の様に加工したのですが、これが中々に困難で出来上がった部品としての補強材・・うっう~ん、不細工!これ以上は無理とマタマタ妥協です。
0.5mmアルミ板から主桁等の細い幅で長尺部品を切り出すのに当初は金切り鋏を使用したが直線や寸法精度を得る為に治具に部材を挟み折り曲げる事での金属疲労を利用して切り出す事とした。
主桁のT型補強材も同様の治具を使用して部材を切り出しT字加工についても同様の治具に挟んで折り曲げて加工した。
主翼前桁と後桁の下部にT型補強材を取り付ける、上部は小骨他を組み上げた後に組み込む。
先に作った補助翼、フラップ、そして折り畳み翼先端の位置を確認しながら主桁と小骨の切り欠きをハメ込んで組み上げる。
小骨の切り出しについては①から順に切り出してハメ込む作業を繰り返し行う。
フラップと補助翼を小骨の蝶番に合わせて組み込んでいく。
主翼の折り畳み翼についても蝶番で繋ぎ合わせ折り畳み翼固定構造材を組み込む
以上、今回はここまでの報告にさせて頂きました、次回はタイヤハウスと燃料タンク?のお話です。