『オリジナル金属ゼロへの挑戦 12/ エンジンカウリングの製作
【Ⅳ】胴体の製作 3/
【Ⅳ】-2 エンジンカウリングの製作 2/2
さて、スーパー職人さんの物まね!?ナンチャッテへら絞りですが向きを変え、押し当てる方向を変えトライする事何十回!?と言いたいところですが、そこは諦めの早いジジイ
ですから三回程で諦め次なる方法はないか!?と考えた訳です。
先ずはスクラップとなったナンチャッテへら絞りの残骸と言うかスクラップ
うう~んん!?何か良い方法はないか・・ウオーキングしながら考えて、晩酌の0.8合を飲みながら考えて、布団の中で考えて・・・。
この考えて!?と言うのが意外と楽しいと言うか充実すると言うか、特に布団に入って目を瞑り何か良い方法はないかなあ~と考えていると何時の間にか寝てしまっています。
話は本題から外れますが夜眠れないで困っている方は試されたら如何でしょうか。
考える事は楽しいと思う事が良いですね、マイナスの思考では逆に覚醒作用をもたらしてしまうでしょうから。
何て!的外れな事は置いておいて本題に戻りますが、結論としてはへら絞りの金属を絞って延ばすと言う事と、短冊の張り合わせの両方を合わせてやったらどうだろう!?
まっ!折衷案ですね、民主主義の基本です。
では結論から、こんなふうに出来ました。
どうでしょうか、これなら何とか採用品として使えるかもしれません。
正面斜めから
裏面はこの通りで、妥協家ジジイですから、これでいこう!!と結論付けるのに十分です。
この際ですから、この手法をへら絞りならぬ『へらシゴキ』と呼ぶ事にしました。
短冊になった0.3mmアルミ板を“ゴシゴシ”とへらでシゴクのです。
では、へらシゴキ?とは。
平たいアルミ板をゴシゴシと延ばす気持ちでシゴクと板が反ってきます、この反りを利用するのですが、ああ~これは胴体と主翼や水平尾翼そして垂直尾翼の付け根などの湾曲した成型にピッタリです、因みにこの湾曲はフィレット(溶接用語)と言うのだそうです。
このへらシゴキですが、やはり限度があってカウリングの様な三次元形状は難しく材料の大きさを変えカットアンドトライをしながらの製作でした。
カウリング前縁の湾曲した成型は幅2cm強のドーナッツ円盤が限度でしたが、これが出来た事で実現できそう!?と思えたのです。
これでやれる!と言う光明が見えましたので1/10製作図を書くのですが海軍航空工廠の発動機覆線図だけでは詳細形状と寸法の把握ができません。
そこで寸法は入っていませんが形状の詳細がある程度解る海軍航空本部編纂の取扱説明書の図を参考にし、発動機覆線図の寸法を基準にして作図しました。
海軍航空本部編纂 発動機整流環(成る程!エンジンカウリングは整流環と呼ぶのか)
1/10 製作図 全体図
1/10 製作図 前部短冊展開図と発動機整流環緊締装置
1/10 製作図 後部円筒・7.7mm機銃弾路溝・気化器空気取り入れ装置
展開図
前部短冊の加工成型
切り出した短冊状のアルミ板をへらでシゴキある程度の湾曲を得る。
市販のパイプ固定用環を用いて木型に固定し木型に沿ってへらでシゴキ成型をする。
カウリング前縁環を重ねて更に成型をして形を整えていく。
裏面からアルミ粘着テープシートで合わせ面を固定し前部円と後部円に補強材を超強力両面テープで貼り付ける。
裏面からへらを使ってシゴキながら仕上げ成型を行う。
1/10製作図に従って整流環緊締装置により材料を繋ぎ作った後部円筒を前部に組み合わせる。
前部の整流環緊締装置はダミー(飾り)として取り付けた。
補強リングと両面テープにより繋ぎ合わせる
気化器空気取り入れ装置の製作、これもへらシゴキにより成型を行う
7.7mm機銃弾路溝を取り付ける
気化器空気取り入れ装置を取り付ける
エンジンカウリングの完成です。
ディアゴスティーニの1/16金属ゼロ戦カウリングとの比較ではこうなります。
湾曲を伴い最大の難関と思われたエンジンカウリング、妥協ですが何とか完成に漕ぎ着けました。
さあ次なるチャレンジは胴体前部です。
ご参考 海軍航空本部 編纂 取扱説明書 零式艦上戦闘機から抜粋